ひょうたんから駒
ひょうたんの縁起で皇居へ拝謁する幸運に~


広島県尾道市  瀬戸 侃さん



お気に入りの、鶴と亀の絵を描いたひょうたんを手にする瀬戸さんは、ひょうたん作り31年のベテランさん


瀬戸さんのひょうたん

先輩から勧められて始めた、ひょうたん作り31年

ひょうたんを作り始めて31年、わが社=㈱備後会とのお付き合いも31年というキャリアの尾道市在住 瀬戸侃(73)をお訪ねし、ひょうたんの魅力を語っていただきました。
瀬戸さんは、自宅近くの約2アールの畑でひょうたんを育てておられます。春に種をまき、夏には白い花を咲かせ、秋に収穫です。そして収穫したひょうたんの口に穴を開け、水につけた後、実を取り出して乾かせば完成です。そのひょうたんに、仲間達4人が共同で絵を描いたり房をつけたりして飾り付けを行います。瀬戸さんのご自宅には、このようにして作製した約200個の大小のひょうたんが整然と飾ってありました。
作品は、東尾道のJA尾道市経済事業本部で開催される「JAまつり」で展示・販売したり、「ええじゃん尾道」のイベント会場でも展示・販売しておられます。
「昭和56年当時、勤めていた自動車プレス部品製造会社の先輩の勧めで、ひょうたんを作り始めたのが切っ掛けなんじゃ。今は、ひょうたん以外にもカラオケや釣りなど様々な趣味があるが、今では、ひょうたん作りはボケ防止に一番じゃ…。」
と笑いながらお話しをしてくださいました。

天皇・皇后両陛下へ拝謁の幸運

そのお話の中で、ことわざにもある「ひょうたんから駒が出る」という感慨深いお話しがとても印象的でした。瀬戸さんは平成19年に、新嘗祭粟献穀奉仕献上式典が皇居にて執り行われた際、広島県代表として粟を献上され、その式典の席に夫婦でお招ねきされたそうです。
「天皇・皇后両陛下に拝謁し、労いのお言葉を頂いたんじゃ。最初に聞いた時は、本当に信じられんかった。何でわしが選ばれたんじゃろう。すごく不思議だった。永い人生でこんな幸運に恵まれることはない。まさにひょうたんのお陰じゃ。わしは何でも物事を良いように考えるんじゃ。」
ひょうたんは、昔から縁起物とされているそうです。こうしたお話を聞くと、昔の豊臣秀吉の千成ひょうたんを思い出します。ひょうたんには本当に開運霊力があるのかな、と思ってしまいました。瀬戸さんの31年間のひょうたん作りの歴史を紡いだ様々な作品の中でも、特にお気に入りの一品を手にされた瀬戸さんの写真を撮らせて頂きました。上部に鶴、下部に亀、見るだけで運が開けそうですね。他にも、福が舞込んで来そうな作品がたくさんありました。千成ひょうたんは1個ずつケースに入れて、すぐに飾れるように丁寧に箱に詰めておられるのを見ると、ひょうたん作りへの細やかな心配りが偲ばれます。

ひょうたん作りは生きがいづくり

「縁起物のひょうたんは、新築祝、結婚祝、手土産にも大変喜んでもらえるので、贈り甲斐がある。あげて良かった!という気持ちになるんじゃ。形や大きさは、天候に左右され、満足がいく作品は全体の約1割しかない。それでも形が良いものが出来た時はすご~くうれしい。満足のいくひょうたんを選んで、房紐で飾りつける。結び方1つでも感じが変わるんで、今でも毎日が勉強じゃ。ひょうたん作りは、今じゃわしの生き甲斐づくりなんじゃ。」
瀬戸さんのひょうたんへの篤い思いを語る口調は軽やかでした。でも…、 「最近の若い人は、ひょうたんの事をあまり知らんからのう。時代かなー。」
と少し淋しげに話しておられたのが妙に印象に残りました。

ひょうたん作りをお手伝いをする「愛瓢市場」

当社の房紐類は、ひょうたん作りに欠かせない重要なアイテムになっています。瀬戸さんがお勧めの色は『朱』だそうです。みなさんも運気を呼び込むひょうたんつくりに挑戦してみてください。

取材日:平成24年4月17日